風防(ガラス)が破損したら早めに交換するのがおすすめ!

風防とは、文字盤を守るガラスのことを指します。ふとしたときにどこかに擦れてしまったり、持っているバッグの金具とかち合って傷ついてしまったりと、どうしても破損してしまいやすい箇所です。

風防に傷やヒビができてしまったときには、できるだけ早く対処するのがおすすめですが、簡単には修理・交換できない時計もあります。この記事では、風防の種類や破損したときの対処法について詳しく説明しますので、チェックしてみてください。

風防(ガラス)が破損したらすぐに対処すべき

風防に傷がついたりヒビが入ったりすることは珍しいことではありません。しかし、風防は時計の顔とも言える文字盤をカバーするパーツなので、破損してしまうと見た目が悪くなってしまいます。

それだけならばまだしも、傷ついた箇所からホコリや水滴が入ってしまうと、内部の破損につながる可能性があります。時計は非常に精密な機械ですから、それがきっかけで壊れてしまう場合もあるでしょう。内部機構にトラブルが生じると、修理金額も高額になります。

風防が破損したら、見た目には気にならないレベルであっても修理するのがおすすめです。風防の素材や傷の程度によっては、研磨することで元通りにできる場合もあります。しかし、基本的にはパーツの交換が必要だと思っておいたほうが良いでしょう。

風防(ガラス)の種類

風防(ガラス)の素材は、大きく分けて3種類あります。コストやデザインによって使い分けられているのです。以下で、風防の3つの種類の特徴を詳しく解説していきます。

アクリルガラス

アクリルガラスは、プラスチック風防や有機ガラスなどとも呼ばれています。合成樹脂や透明なプラスチックを材料として作られる風防です。現在ではオメガ・ロレックス以外のブランドで使われることはほぼありません。アンティーク時計などで使われていることが多いタイプです。

アクリルガラスは、加工がしやすい上に軽量かつ割れにくいという特徴を持っています。素材としては脆いのですが、ドーム型に加工することで薄く作っても強度を保てるのです。風防部分が少し盛り上がったレトロなデザインがたまらない、という方もいるでしょう。防水性を高めやすく、多少の傷ならば研磨によって傷を消せるのもうれしいポイントです。

一方、柔らかい素材のため表面が傷つきやすいこと、そして紫外線を浴びることによって変色する可能性があるのがデメリット。アクリルガラスのモース硬度(1~10で物質の硬さを表す指標)は2です。硬貨などの金属でこすると、比較的簡単に傷がついてしまいます。

ミネラルガラス

ミネラルガラスは最も一般的なタイプです。無機ガラスとも呼ばれます。透明度が高く、美しい見た目を持つため、建材として窓などに使われることも多い素材です。低コストで加工もしやすいため、多くの腕時計で採用されています。

一口にミネラルガラスといっても、モース硬度は3~6程度と幅があります。化学処理や熱処理を施したクリスタルガラスやハードレックスなどは、ミネラルガラスのなかでも強度の高いタイプです。

アクリルガラスよりは傷つきにくいとはいえ、ものによっては室内の家具や電車内の手すりにぶつけるだけで傷がついてしまうこともあります。しかし、アクリルガラスと違って、研磨によって小さな傷を修復することはできません。

たとえば、「ref. 116400GV」と刻印されたロレックスの場合、「1164」がモデル番号です。上記のモデル番号表を確認すると、「ミルガウス」だとわかります。ただし、同じモデル名であっても年代によってモデル番号が異なる時計もあるため、注意が必要です

サファイヤガラス

サファイヤガラスと言っても、宝石のサファイヤとは別物です。ルビーやサファイヤの結晶である「コランダム」という鉱物を加工して人工的に作られたもので、厳密に言うとガラスとは異なる素材です。風防のなかで最も硬く、金属など硬いものと擦れても傷がつかないほどです。その硬さゆえに加工が難しいので、フラットな形状の風防が多く見られます。

モース硬度は、天然サファイヤと同レベルの9という高い数値を誇ります。しかし、硬度が高いからと言って破損する心配がなくなるわけではありません。むしろ硬いものほど、大きな衝撃を受けた場合には派手に割れたりヒビが入ったりするリスクがあるのです。

サファイヤガラスは、アクリルガラスやミネラルガラスと比べてコストがかかるため、高級時計に使われることがほとんどです。

風防(ガラス)が交換できるケース

風防が交換できるかどうかは、時計の構造によって異なります。交換後も、その時計の持つ機能を維持できる構造なら対応は可能です。年代の古いプラスチック風防のモデルや、接着によってガラスが取り付けられているものについては、おおむね交換ができます。

注意すべきは防水性のある時計です。風防は水滴の侵入を防ぐ役割も担っているため、一度取り外すと元通りの性能を再現できない恐れがあります。3気圧防水程度のものなら、風防を交換できる場合も多いでしょう。

風防(ガラス)が交換できないケース

防水性や密閉性が高い時計の場合には、風防を交換できないケースが多くなります。交換によって本来の機能を維持することが難しくなるからです。

防水性の高い時計は、風防の周りがベゼルで固定され、さらにガラスパッキンが当てられているのが一般的です。しかし、このガラスパッキンは市場には流通していないため、容易には入手できません。メーカー修理であれば対応可能なこともありますが、街の時計修理店と比べると修理代金が高額になりがちなのが難点です。修理に出す期間も長くなります。

ただし、メーカーによる違いなどもありますので、風防が傷ついたり割れたりしてしまったら、まずは専門家に相談してみると良いでしょう。

風防(ガラス)は自分でも交換できる?

風防の交換は、相応の知識と技術があれば、自分でもできなくはありません。まずは、精密機器用の工具やガラス閉め器など、必要な道具を用意しましょう。時計は精密機械ですから、内部を傷つけたりパーツをなくしたりすることのないよう、慎重に作業しなければなりません。

風防を交換するためには、裏蓋外しから始めます。次に、リューズと文字盤、ムーブメントも外していきます。続いて、破損した風防を外し、新しいものと付け替えましょう。風防の取り付けは、圧をかけてはめこむか、接着剤を使用するかの2通りの方法があります。新しい風防を取り付けたら、そのほかの外したパーツを元通りに戻して作業は完了です。

言葉で説明するだけなら単純に思えますが、実際は細かいパーツが多く、手順も非常に複雑なため、素人が自分で交換することはおすすめできません。

オーバーホールが必要なことも

風防が傷ついたり割れたりすると、割れた破片や水滴が時計の内部に入ってしまう場合があります。時計は複雑な構造を持つ精密機械です。内部機構に異物が侵入すると、重大な故障の元となる可能性も否定できません。場合によっては、パーツの交換が多数必要となって高額な修理費用がかかったり、元通りに修復するのが難しくなったりする恐れもあるでしょう。

そのため、風防の破損状況や時計の種類によっては、プロによるオーバーホールが勧められることもあります。オーバーホールとは、時計の全パーツを一旦分解し、内部の洗浄や油の注入、調整をする作業です。

オーバーホールは大切な時計を長く使っていくために重要なので、風防の破損を機に依頼するのもおすすめです。なお、風防だけを交換できる構造ではない時計の場合も、オーバーホールが必要になります。

時計の修理は実績豊富な専門店に相談しよう

時計は複雑な構造を持つ精密機械です。修理には専門的な知識と技術が求められます。風防が傷ついてしまったときには軽く見ずに、一度専門店に相談してみてはいかがでしょうか。時計のプロがしっかりと状況を見極めて、適切な修理方法を提案してくれます。大切な時計を長く使い続けるために、定期的なメンテナンスも心がけましょう。